ホームページ制作会社の選び方

今回はホームページ制作会社の選び方について。
企業の経営者・WEB担当者のために、ホームページ制作会社を選ぶために必要なガイドラインを提示してみたいと思いまして、投稿してみました。

目的は、ホームページ制作会社選びで失敗する人を減らしたいからです。
最初に断っておきますが、当社を選ぶように誘導するために書いたのではありませんよ。
この投稿では、可能な限り当社への誘導になるような文章は排除し、あくまで一般的かつ客観的な記述に徹してみます。

ホームページ制作事業者は、一人で活動しているフリーランスから、資本金が億単位の会社まで、星の数ほどあります。参入障壁が低い業界なので、どちらかというと小規模な会社が多いです。

ですから、発注側の皆様は、どの制作会社に発注すべきか本当に迷うようです。
結局調べてもよく分からないので、いくつかの企業に合い見積もりをとって「えいや!」で決めたり、知り合いに頼んだり。。。そして、良い結果が得られれば良いですが、そうでないことの方が多いのが現実のようです。

ホームページ制作会社の良し悪しは、1つのモノサシでは計れません。
発注側の会社の規模や業種、ホームページ自体の規模や内容、受注側の制作会社の規模や体制・担当者によって、得意・不得意があるからです。

とある大企業のマーケティング部などは、いくつかの制作会社をプロジェクトに応じて使い分けています。中小企業でもそのようなことができれば理想ですが、ブランドサイトをいくつも持っている大企業でない限りは難しいのが現実です。
ですから、今回の投稿は、どちらかというとそのような大企業ではなく、制作会社選定のノウハウが少ない中小・中堅・ベンチャー企業向けの制作会社の選び方コンテンツです。

 

制作会社のタイプ

ホームページ制作会社を探す前に、まず、ホームページ制作会社にはいくつかのタイプがあることを事前に知っておくと、選ぶ際の参考になります。

ホームページ制作会社には、ホームページ制作が本業の会社、もともと他の本業があり、その本業に付随する形でホームページ制作をおこなっている会社があります。例えば、広告代理店やコンサルティング会社、出版・印刷会社がホームページを受注しているような場合です。本業で制作しているから良いとか、 小さな会社だから駄目だ、ということでは決してありません。各社はそれぞれ個性があり、得意とする分野があります。

自分の家を建てる時を想像してみてください。落ち着いた和風の家を作りたいような場合は、和風建築を得意としている住宅メーカーに見積もりを頼みますよね? 同じように、ホームページを制作する場合も、ホームページ制作会社がどの方面を得意としているかは、選び方の基準の1つになります。ということは、選ぶ前に、自社の制作したいホームページの目的や方針が決まっているということが前提になりますが、それが明確であれば、どの分野に強いホームページ制作会社に依頼すればよいか、おのずと絞られてくるのではないでしょうか。

ここでは、ホームページ制作業務を行っている会社を、ホームページ制作以外に本業がある会社(あった会社)とない会社に分類し、さらにその中でいくつかのタイプに分類してみました。事前知識として知っておくと、ホームページ制作会社を選ぶ際や面談の際に役立つかと思います。

但し、ここに記した分類はあくまで傾向に過ぎません。例外も数多くあるということを予めご了承ください。

 

システム系の会社

元々、ソフトウェアや、データベース、ネットワークなどのシステム開発を行っているシステム会社、あるいはコンピュータ会社などが、ホームページ制作も行っている場合があります。
大手だと、富士通などが有名ですが、中小規模の会社もたくさんあります。
システム開発だけを行っていたこのような会社が、1990年代半ば、「マルチメディア」という言葉に敏感に反応し、インターネットの存在を重視するようになりました。
これらの会社は、システム開発という強みを生かして、大規模なバックエンドシステムやロジスティクスシステムと連動する形でのホームページ制作を得意とし、各社競ってインターネット業界に進出してきました。このようなシステム系の開発会社は、ホームページ制作を本業としている会社より企業規模が大きな会社が多いです。
大規模ECショップや決済が絡むような会員サイト、基幹システムとの連携が必要なホームページを考えているのであれば、こういった開発会社に問い合わせてみると良いかもしれません。

富士通のような大企業になると、ホームページ制作のビジュアル面については、デザイン会社に下請け発注することがほとんどです。そのため、バックエンドシステム、デザイン等、それぞれを、専門の人が受け持つことになるので、良質のものができるかもしれません。
ただしその場合、関係者が増えることでデザインに関する希望が直接デザイナーに届かなくなるなどのリスクも多くなり、ハンドリングに手間がかかることがあります。また、一概には言えませんが、ホームページ制作だけを頼む場合には、コストが割高になります。

今ではWordPressを上手く使えば、簡易的なシステムを構築することも可能なため、予算に余裕がない場合はWordPressで代用することもできますね。

 

印刷系の会社

インターネット登場前は、デザイナーやクリエイターと呼ばれる人たちの多くは、雑誌や会社案内、製品パンフレットなどの印刷物を扱う仕事をしていました。

ホームページ制作という仕事が誕生したばかりのころは、デザイナーやクリエイターたちが、そのデザイン能力を活かし、企業から印刷物(会社案内など)などを受注して、その付随物としてホームページも一緒に制作する、という方向へ移行してきました。

会社案内と全く同じようなホームページを制作したいのなら、会社案内を作成した制作会社に、同じように依頼するのがよいかもしれません。全く新規の依頼と比べれば、料金交渉も有利に進められやすくなります。

しかし、会社案内のパンフレットとは違い、企業の多くはホームページから利益の上がることを希望しています。それには、ホームページに多くの人がアクセスしてくれることが必要になります。そのため、ホームページには、訪れたお客様が欲しがっている情報をたくさん掲載することが必要となり、また、ホームページ自体の使い勝手の良さも求められます。そういった要望に対して、印刷系のホームページ制作会社がどこまで技術的・知識的に対応できるか、きちんと見極めることが必要です。なぜなら、ホームページ制作に関する技術は年々高度化し、制作者は覚えなければいけないことが増え続けているからです。

そのため、印刷系のホームページ制作会社は、印刷物のデザイナーとは別にホームページ専任のWebデザイナーやプログラマーを置いたり、外注したり、という場合が多くなってきたようです。例えば、大手印刷会社などは、グループ会社にWeb開発が可能な制作会社や専門の開発部門をもって対応しています。

発注を検討する際は、デザインの良し悪しだけでなく、SEOやユーザビリティといったWeb特有の対応ができるかどうか見極めが大切ですね。

 

映像系の会社

ブロードバンドの普及によって、テキストと静止画が中心だったホームページの世界も、だいぶ様変わりしてきました。以前にも増して、視覚的に訴え、インパクトを与えるようなホームページを希望する企業が増えています。

そういった状況で活躍し始めたのが、これまで多数のCM制作などを手がけてきたような、映像系の制作会社です。
彼らは当然ながら、ユーザビリティやSEOを重視するホームページよりも、テレビCMと連動したようなキャンペーンサイト制作や、画面いっぱいに動画をフル活用して、どちらかというとインタラクティブなテレビといった趣のホームページを作る際に、その力を大きく発揮します。

アニメーション制作は、通常のホームページ制作とは全く違う演出と制作能力が求められます。シナリオからキャラクターの設定、絵コンテ、スキャニング、撮影、編集、アフレコというような過程は、ホームページ制作の過程とは、だいぶ異なるのです。その辺のノウハウが、映像系の制作会社の強みです。

またこういった制作会社が活躍し始めた要因に、ブロードバンドの普及とともに、WEB技術の進化もあげられます。
特に、HTML5の登場によって、ブラウザで扱える動画の形式が増えました。これによって、以前では考えられないような動画を使ったリッチコンテンツが頻繁に見られるようになってきています。

 

ホームページ制作が本業の会社

ホームページ制作が本業というのは、ホームページ制作をするために興された会社のことを指しています。したがって、本業がホームページ制作です。

またこのタイプの制作会社の特長としては、どんなに長くても社歴が20年程度ということです。企業がホームページを持ち始めてから、その程度の年月しか経っていないのですから、当たり前のことです。さらに、このホームページ制作の業界は、良くも悪くも、他の業界に比べて参入障壁が低いため、簡単なホームページの知識や、ちょっとしたデザイン能力があるだけで「ホームページ制作会社でもやるか」と起業する者も多いのが現状です。もちろん大変なノウハウを有しているしっかりした会社も多数ありますが、他の業界に比べて、小規模な会社がうんざりするほど沢山あるというのがこの業界の大きな特徴です。しかしそのような状況は、選ぶほうからするとどこに頼んでよいのやら、頭を悩ませてしまいます。

1人で営業しているフリーランスの人から、上場しているような会社まで、それをここで一まとめに話をするのは非常に困難です。ここでは、規模別の“傾向”として、以下に簡単にご紹介しておきます。

 

規模(従業員数)によるタイプ

SOHO(フリーランス)

”Small Office Home Office” の略で、いわゆる個人事業所です。SOHOの語源は、ニューヨークSOHO街のアーチストたちが、自分たちでサーバーを確保し、大企業と同等のマーケティング活動を開始したことに由来します。日本ではインターネットの普及とともに、SOHOという仕事形態を選ぶ人が増えたとも言われています。仕事場は自宅あるいは、小さな事務所で、一人で受注し制作します。もともとは制作会社のデザイナーだったというような人が比較的多いようです。また、大手のホームページ制作会社に勤めていたウェブディレクターが同じように独立し、SOHOでいろいろな得意分野の仕事を請け負っている仲間を集め、1つのプロジェクトを完成させるということもあります。

 

小規模なホームページ制作会社

10~30人程度の規模の企業が、ホームページ制作会社には一番多いのではないでしょうか。ホームページ制作の仕事内容の分担から考えると、この程度の規模が制作会社では一番適正な大きさかもしれません。
ちなみにWordPressCustomizeはこの小規模なホームページ制作会社にあたります。

 

中・大規模のホームページ制作会社

30人以上の規模のホームページ制作会社は、この業界においては大きな企業といえます。このような中・大規模のホームページ制作会社は、ホームページ制作以外にもリスティング広告の運用やクリエイターの人材派遣など、事業の柱をいくつか持っていることが多いです。
また一部ですが、制作人員より営業人員が多いホームページ制作会社、リースやクレジットでホームページ制作を契約させるホームページ制作会社もあります。

 

規模が違えど、見極めるポイントは社内制作なのかどうかが重要な見極めになります。
本業がホームページ制作にも関わらず、営業マンが多い会社(中・大規模のホームページ制作会社に多い)は、基本的にコストは割高になり、ホームページのノウハウや知識に乏しい場合が多くあります。当然他社に外注しているので、レスポンスも悪く、制作期間も長くなりがちです。
こういう会社に制作を依頼するメリットはほとんどないと言っても過言ではないでしょう。

 

 

ホームページ制作会社の選び方まとめ

ホームページ制作を本業としていない会社に関しては、全般的にコストは割高になります。しかしながら、それぞれの得意分野に関しては秀でたものがありますので、これから制作するホームページに合わせて選んでいくことが大事です。

特に動画編集などはホームページ制作のスキルとは全く関係ないものになりますので、映像系の会社に依頼する方がいいですね。

次に、ホームページ制作を本業とする会社で選ぶ場合は、その会社で制作が完結するのか、しないのかの見極めが大事です。
あとは制作実績を見て、選んでいく方法が最善です。実績を出していない会社はあえて選択する必要性はないでしょう。

 

絶対やめた方がいい制作会社

前述しましたが、ホームページ制作の契約に対して、リースやクレジットの契約を強いる制作会社は、絶対にやめた方がいいと断言できます。

初期費用0円、月々の支払いが○万円でホームページがもてますよ~
と表向きには好感の持てる宣伝文句を利用して、しつこい勧誘をおこなうホームページ制作会社があります。

本来ホームページは無形であり、リース契約はできません。しかし更新ソフトCDやパソコン、SEO(検索エンジン対策)サービスに5年間のリースをかける形で「初期費用無料のホームページ」を販売する業者があります。契約後、販売業者にはクレジット会社・信販会社からすぐに全額(180万円~300万円ほど)が一括で入る手早いビジネスなので参入業者が後を絶たないのです。

制作代金を一括で支払うことが難しい、でもホームページを持ちたいと考えている中小企業にとって、月々2~3万円の支払いで済むリース形式を提案されれば、心が動かされるのもわからなくはありません。一定のニーズがあるのも事実だと思います。しかしもともとがリースの出来ないオリジナルの成果物に対して、無理矢理CDやPCなどのハードを抱き合わせて販売している訳ですから、当然のことながら理論上の破綻が生じます。だからトラブルや訴訟沙汰、ネットでの相談が多いのです。

ホームページリース契約は5年6年は解約出来ません。仮に月3万円だと総額200万円近くも支払うことになります。相当な金額です。
しかも制作されるホームページは中身がスカスカの陳腐なホームページである場合が多いことも特徴です。30~50万で通常のホームページ制作会社に依頼をする方がよっぽど、高品質なものができるでしょう。
またホームページ(Webサイト)などのインターネット関連業界はドッグイヤーという言葉がある位、技術革新の変化が激しい業界です。5年も経てばデザイン、システム、サービスは陳腐化してしまいます。リース料の支払を拒否しても、リース会社からは債務不履行を理由として残りのリース料相当額の損害賠償を請求されます。携帯電話やレンタルサーバーであれば嫌になれば解約してしまえば済みますが、リースは使わなくなっても最後まで支払い続けるしかないのです。

また更新サポートを高らかに謳っている事業者もありますが、リース物件の保守・修繕は、リース会社は責任を負わず、ユーザー負担となります。ホームページのメンテナンス費用については、コピー機などと同様に、リース料とは別に保守費用を支払って更新・修正サービスを受けることになります。しかしホームページリース商法を手がけているのは、もともと売り切り志向の強い(売って終わり)事業者ですから、写真や文章の差し替えはともかく新しい機能の追加やカスタマイズはほとんど期待出来ないと考えていいでしょう。

契約終了後にリース物件をリース会社に返却するのがリースの定義であるならば、取得したドメインの所有権はどうなるのか、更新したコンテンツの文章や図の著作権は誰にあるのか、サーバーにアクセスしてホームページデータをダウンロードしてもいいのか。矛盾の上に成り立つホームページリース契約は、ビジネス上のリスクがあまりにも高すぎます。

以上のようなことからホームページのリース契約は絶対にやめた方がいいでしょう。一度契約をすると事業者間同士の取引のため「クーリングオフ」もできません。悪質な事業者とのトラブルにならないよう注意しましょう。

 

 

 

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